「不景気になると、女性のスカート丈が長くなる」 と言う学説があります。
経済的なことはよく分からないけど、好景気・不景気に関係なく、おしゃれ大好きな私たちは流行りのロングスカートが着たい!
膝よりも下の丈で、裾が細くなったロングタイトスカート。 大人っぽいシルエットで女性らしさが表現できます。ロングタイトスカートが一着あればいろんなコーディネートが楽しめます。
今回は、シンプルに、簡単に縫製するためポケットなし、後ろベンツ開き、ファスナーはコンシールファスナーを使って基本的なタイトスカートを作ります。
まずは、タイトスカートの作り方 「工程表」を確認しましょう
スカートを作るには、A (デザイン) B (型紙を作る) C(生地裁断) D(縫製)の4グループに分けられます。 作る順序もA→Dの流れで行います。 そして、A~D それぞれの中身を見てみると、さらに分ける事が出来ます。
この流れに沿って、スカートを作っていきます。
なんだか難しく感じるかもしれませんが、順序よく・詳しく説明しますので、大丈夫、ご安心ください。
さぁ 自分好みの「ロングタイトスカート」を作っていきましょう。
A ベーシック・ロングタイトスカートのデザインを考える
A-1 デザインを考えてみよう
まずは、作ってみたいタイトスカートをイメージしましょう。
「タイトスカート」と言ってもいろんなタイトスカートがあります。 スカート丈は何cm? スカートの裾回りは何cm? スカートのシルエットラインは裾に向かって細くなりますが、細くし過ぎると歩きにくくなっていきます。また、細くすると後ろベンツの開きをより長くしなくてはいけません。
単純に考えるのではなく、自分のイメージをしっかりと持ち理想のタイトスカートを作りましょう。
スカートのシルエットラインとベンツの関係を説明するよぉ
タイトスカートのシルエットとベンツの関係性を理解したら、あなたの作りたいタイトスカートを決め、メジャーで測りスカートの実在感をイメージしましょう。
A-2 材料をそろえる
タイトスカートに必要なものを準備します。
正確にサイズを測りましょう。 一人で測るより他の方に測ってもらうのが一番いいのですが、一人の時は、姿見の鏡、全身が映る鏡があると便利で、正しく測りやすくなります。
タイトスカートにダーツを入れるため、あまり厚手の生地はおすすめできません。 デザインに合わせて生地をお選びください。
今回は、薄地のウール、ギャバ(織り方)を使います。 初心者の方でも扱いやすく、ベーシックなタイトスカートによく合う生地です。
B タイトスカートのパターン(型紙)を描こう
B-1 タイトスカートの原型パターン(型紙)を描こう
タイトスカートの原型パターン(型紙)を描いていきましょう。
ここでは、伊東式のパターンメイキングをご紹介いたします。 文化式や囲み製図と違い、少し難しく・また計算などが手間だと思われるかもしれませんが、自分オリジナルのデザインやサイズで洋服を作るには、この手間を惜しんではいけません。
まずは、C,B ・ C,F FW ・FH BW ・ BH のご説明を致します。
- C,B センターバック 後ろスカート中心線です。 この線上にファスナーとベンツを付けます。
- C,F センターフロント 前スカート中心線です。
- F,W フロントウエストサイズ
- F,H フロントヒップサイズ
- B,W バックウエストサイズ
- B,H バックヒップサイズ
- S,S サイドシーム 脇線 このS,Sを境目にして前スカートと後スカートに分けます。
既製服の標準サイズを参考に、今回はMサイズ、9号サイズに近いヌード寸法でスカートを作ります。
今回は、W(ウエスト周り) 66cm H(ヒップ周り) 86cm でスカートを作ります。 スカート裾周りは76cmです。
Mサイズ | 9号サイズ | ヌード寸法 | 仕上り寸法 |
B 83~89cm | B 84~87cm | ー | ー |
W 66~72cm | W 67~70cm | W 66cm | W 67cm (ユルミ+1cm) |
H 86~90cm | H 87~89cm | H 86cm | H 90cm (ユルミ+4cm) |
上記を参考にして、F,W F,H B,W B,H の計算をしていきます。
計算表
W 66cm (ヌード寸法) | 前後差 | ユルミ | 合計 | |
F,W | 66÷2=33cm | +1.5cm | +0.5cm | 35cm |
B,W | 66÷2=33cm | -1.5cm | +0.5cm | 32cm |
H 86cm (ヌード寸法) | 前後差 | ユルミ | 合計 | |
F,H | 86÷2=43cm | +1.5cm | +2cm | 46.5cm |
B,H | 86÷2=43cm | -1.5cm | +2cm | 43.5cm |
ご自身のヌード寸法を、表に当てはめて計算し、あなたのF,W F,H B,W B,H の計算をしてください。
F,W=35 B,W=32 F,H=46.5 B,H=43.5 で
スカート原型パターンを描きます。
パターンを描く、用紙・サシなどを用意しましょう。
タイトスカート原型 ⑴
❶から順番に描きましょう。 後スカート丈がC,B(センターバック)になります。 C,Bライン上にヨーク丈 (ウエストラインからヒップラインまでの長さ 今回は19cm )をとります。 このC,Bに対して直角に横線をひきます。この線がヒップラインです。
❹はヨーク丈のセンターラインで後でダーツの止まり位置になります。
タイトスカート原型 ⑵
❸のヒップライン上にB,H(バックヒップサイズ)のそれぞれの寸法をとります。
❺B,H/4は、43.5cm÷4=10.8cm B,H/8 は、43.5cm÷8=5.4cm となります。(小数点 第1まで)
❼のB,H/8サイズを取ったところが、❽ S,S(サイドシーム) スカートの脇線になります。 この脇線を境にして前スカートと後スカートに分かれます。
なぜ B,H/8とかB,H/4にするの?
あなたのヒップ・ウエストサイズにベストな位置にダーツを入れるためです。 伊東式パターンの特徴である黄金比率だよ!
タイトスカート原型 ⑶
❾同じように、ヒップライン上に、F,H(フロントヒップサイズ)を描きていきます。 F,H/6は、46.5cm÷6=7.7cm(小数点 第1まで)
⚫️11のところで、C,F(センターフロント) 前スカートの中心線になります。
タイトスカート原型 ⑷
(12)ヒップラインから垂直にウエストラインに向かって縦ラインを引きます。
S,S(サイドシーム)を1.5cm上に上げます。C,Bと結び新しくウエストラインを描きます。
この新しいウエストラインとヒップラインからの垂直線の交差点がダーツのポイントになります。
タイトスカート原型 ⑸
新しく引いたウエストライン上に、C,BからB,W/4 32÷4=8cm ヒップライン上から垂直線に伸びた線●12から B,W/8 32÷8=4cm を取ります。 同じように、●13からB,W/8 32÷8=4cmを取ります。
タイトスカート原型 ⑹
前スカートのヒップライン上から垂直に縦線を上に引きます。 C,Fラインから0.5cm上げた新しいウエストラインを引き、垂直線とウエストラインが交差した点が前スカートのダーツポイントになります。
タイトスカート原型 ⑺
●21 前スカートのC,Fラインから新しいウエストライン上に、F,W/6 35÷6=5.8cmを取っていきます。 ヒップラインからの垂直線と新しいウエストラインの交差点から同じように、F,W/6 35÷6=5.8cmを取ります。 新しいウエストラインを3分割できます。
タイトスカート原型 ⑻
新しく前スカートダーツ、後スカートダーツを描き入れます。 ダーツ止まりはヨーク丈のセンターライン上です。
タイトスカート原型 ⑼
基本的なスカートパターンが描けました。
次は、原型パターンの仕上げです。
タイトスカート原型 ⑽
ダーツ、ウエストからヒップまでのS,Sラインをボディに合うように、カーブ線を描き入れます。(本来、人の体には直線的ラインは無く、ボディに合うようにカーブ線を書き足します。
ダーツは直線線とカーブ線の間は2~3mm, S,Sのカーブ線はヨーク丈のセンターと間1cmぐらいです。
タイトスカート原型 (11)
ダーツを折り畳んで新しいウエストラインを引き直します。 カーブ線を使って滑らかになるようにしましょう。
B-2 デザインに合わせて原型パターンを展開する
スカートの原型パターンを使って、オリジナルロングタイトスカートパターンに変更(展開)していきます。
ロングタイトスカートパターンに展開 (12)
スカートの裾(ヘムライン)の周りをオリジナルデザインスカートにするため、スカート原型パターンより、S,Sを前スカートはC,F側に1.5cmCUTます。 同じくS,Sを後スカートはC,B側に1.5cmCUTます。
ロングタイトスカートパターンに展開 (13)
せっかく描いたスカートパターンがもったいないなら、新しく用紙を用いてS,S側のパターンだけを描き写して下さい。 (14)図と同じように重ねてB,C側のパターンを描き写しましょう。
ロングタイトスカートパターンに展開 (14)
後スカートのヒップライン上、B,H/4を中心にS,S側のパターンを動かして重ねます。 スカートの裾周りの長さが短くなります。
あなたのデザインスカートの裾周りに近づけて行きましょう。
ロングタイトスカートパターンに展開 (15)
新しくダーツを描き直します。 スカートのヘムライン(スカートの裾)もカーブ線で描き直します。
スカートの裾が下がってるけど間違ってませんか?
ダーツを畳んで縫うとスカートの裾が上がってきます。
これが伊東式パターンの特徴だよ。
ロングタイトスカートパターンに展開 (16)
前スカートも後スカートと同様に2つに分けて展開していきます。
せっかく描いたスカートパターンがもったいないなら、新しく用紙を用いてS,S側のパターンだけを描き写して下さい。 (14)図と同じように重ねてB,C側のパターンを描き写しましょう。
ロングタイトスカートパターンに展開 (17)
あなたのデザインスカートの裾周りに近づけて行きましょう。
前スカートのヒップライン上、F,H/6にピンを打ちスカートのS,S側のスカートパターンを前スカートパターンに重ねて行きます。 スカートの裾周りが短くなります。
B-3 描いた型紙(パターン)で仮縫いをする
本場の生地でスカートをつくる前にシーチィング(仮縫い用の生地)で見本を作り、イメージ通りから、修正箇所などないかを確認しましょう。
まずは、スカート原型のパターンで作成した仮縫いのスカートです。 ヒップラインから真っ直ぐ下にスカートラインが落ちています。
原型のスカートパターンをデザインに合わせて展開し仮縫いしたスカートです。 ウエストサイズやライン修正などしましょう。 また、ベンツの丈・開き具合・歩きやすさなども確認しておきましょう。
B-4 パターン修正、パターンに縫い代を付けて完成する
ロングタイトスカートパターン修正後 (18)
後スカートパターンは、「右後ろパターン」 と 「左後ろパターン」 2つ作ります。 特に初心者の方は、ベンツのパターンが左と右で違うので間違えないためにも両方作ることをお勧めします。
ロングタイトスカートパターンに展開 (19)
後スカートの縫い代を付けます。
ロングタイトスカートパターンに展開 (20)
前スカートのパターンに縫い代を付けてパターンを完成させます。
ロングタイトスカートパターンに展開 (21)
ウエストベルトパターンも描きましょう。
スカート表地のパターンは完成です。
ロングタイトスカートパターンに展開 (22)
表地のパターンを元に裏地のパターンも描きましょう。 後スカートのダーツは、「右後ろパターン」と「左後ろパターン」は違うのでそれぞれのパターンを描きましょう。 裏地パターンには、キセ0.2cmかけていきます。
C 生地を裁断
C-1 生地、裏地にアイロンを掛ける
下準備としてスカート生地と裏地にアイロンを掛けます。 生地の表面をキレイにするだけでなく生地の字の目も整えましょう。
C-2 生地裁断
C-3 表地・裏地下準備 (芯地貼る 切りしつけ チャコペーパー印付け)
下準備は以上です。
D 縫製する
さぁ 縫製スタートです♪
分かりやすくするため白糸で縫製してます
表地スカートのダーツ 裏地スカートのダーツを縫う
表地C,Bファスナー止まりからベンツ止まりまで縫う
裏地ファスナー止まりからベンツ止まりまで縫う
裏地のC,Bはキセのラインを縫う
裏地のベンツ開き止まり上2cmぐらいからキセラインからC,Bラインを縫う
ダーツ C,B ミシンかけしたところにアイロンをする
後スカートのC,B・ベンツ止まりまで縫う
C,Bを直角に曲がりベンツの上部分を縫う
( ベンツの縦縫い代は縫わない)
後スカートC,Bに切り込みをいれて縫い代をアイロンして割ります
ベンツも反対側に倒しましょう
裏地ベンツを作る
裏地中表にして、裏地右後スカートと裏地左後スカートのC,Bを縫う
裏地スカートのC,Bの
ベンツ止まり位置の上2~3cmまでキセラインをアイロンする
下2~3cmはC,Bラインをアイロンする
ベンツの形を整え、裏地ベンツの形も作りましょう
表地ベンツと裏地ベンツを合わせ、まつり縫いする (初心者向け)
私はまつり縫いします。
ミシンで縫う場合
裏地左後スカートベンツ(縦縫い代)と表地左後スカートベンツ(縦縫い代)を合わせて縫います
ベンツの横ラインを縫う
裏地右後スカートのベンツ(横縫い代)と表地右後スカートのベンツ(横縫い代)を合わせて縫う
裏地右後スカートベンツ角に少しだけ切込みをいれ、裏地右後スカートのベンツ(縦縫い代)を倒してアイロンする
表地右後スカートのベンツ(縦縫い代)と裏地右後スカートのベンツ(縦縫い代)を合わせて縫う
裏地の切込みを入れた少し上をミシンで縫い合わせる
ベンツをアイロンする
スカートの裾上げをしてまつり縫いします
裏地の裾上げをしてまつり縫いする
ベンツ完成
コンシールファスナー専用の押さえがあると便利だよ
ファスナー付け位置(C,B線)を仮縫いする
裏返して縫い代を割りアイロンを掛ける
コンシールファスナーを仮に設置する
スカートの縫い代とファスナー(テープ)をピンで止め、
ファスナーのスライダーをファスナー止まり位置より下に下ろす
ファスナー(テープ)とスカートの縫い代を縫う
コンシールファスナー専用の押さえを使用
押さえの溝にファスナー(務歯・エレメント)を通して縫う
反対側も同じようにスカートの縫い代とファスナー(務歯・エレメント)を縫う
ポイント! 両側とも上から下へミシンで縫ってね
C,Bを仮縫いしていた所を切ります
ファスナーのスライダーを元の上の場所に戻します
ファスナー止まり 下止をペンチでとめる
または、シム下を糸で縫ってもOKです
スカートの縫い代(端)とファスナーの縫い代(端)をミシンで縫う
コンシールファスナーの完成です
裏地スカートの脇線(S,S) キセを縫う
裏地スカートの裾上げをミシンで縫う
ミシンで縫ったところ
脇線にキセ0.2cmかけてアイロンする
スカートの裾上げをアイロンする
表地 前スカート脇線と表地 後スカートの脇線を合わせて縫う
縫った脇線を両方に割ってアイロンをかける
表地スカートの裾 仕上げる
(仕上り線を折ってアイロンを掛ける)
表地スカートを内側にし裏地スカートを外側にして合わせる
表地スカートのファスナー部分と裏地スカートのファスナー部分をまつり縫いする
ウエストベルト生地とベルト芯を縫い合わせる
ウエストベルト生地の端を縫う
縫い代をひっくり返す
ウエストベルトの角を作る
ウエストベルトとスカートを合わせて縫う
ウエストベルトの持ち出しを出しておく
ウエストベルトの縫い代を裏地スカートのウエストラインにまつり縫いする.
表地スカートの裾上げをする。(裾まつり縫い)
鍵ホックとスナップボタンを付けよう
スカートに仕上げアイロンを掛ける
ロングタイトスカートの完成
ロングタイトスカート出来上がり
最後までご覧頂きありがとうございました。
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