【洋裁の基本】 パンツパターンの原型描き方

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女性のパンツスタイルは男性同様、機能性から快適性へと変化し、ビジネスウェアやスポーツウェア、カジュアルウェアなどの様々なシーンで着用されています。

どのパンツを作るにも必要なパンツパターン(原型)の描き方をご紹介致します

目次

パンツとは?

ピンちゃん

パンツ、ズボン、ボトムス、スラックスいろいろあるけど、

  • ズボン    二股にわかれていて足を片方ずつ包む衣服のこと
  • パンツ    英語が語源で足を片方ずつ包む二股に分かれた衣服のこと
  • ボトムス   下半身に身に付ける衣服の総称
  • スラックス  ズボンの1種でフォーマル系の長ズボン

このような定義で分けられています。

パンツ種類

パンツの種類分けと特徴

(A) パンツ丈 ロング   幅 スリム

  • スキニーパンツ:脚にピッタリとフィットした細身のパンツ。ストレッチ性の高い素材が使われていることが多い。
  • ブーツカットパンツ:太ももからふくらはぎにかけてややタイトなシルエットで、裾に向かってやや広がりをもたせたパンツ。名前の通り、ブーツとの相性が良い。
  • ストレートパンツ:脚に沿って直線的に落ちるシルエットのパンツ。オフィスやフォーマルな場にも着用できる汎用性の高いパンツ。
  • レギンス:スパッツのように薄く、足全体を覆うタイプのパンツ。スポーツウェアとしても、カジュアルウェアとしても着用される。

(B) パンツ丈 ロング    幅 ワイド

  • ワイドパンツ:腰回りはゆったりとしているが、裾に向かって広がる形状のパンツ。
  • ドレスパンツ:ドレスのように裾幅が広くエレガントなパンツ。

(C) パンツ丈 ショート   幅 スリム

  • ショートパンツ:夏場に人気のある、太ももや膝上までの短いパンツ。

(D) パンツ丈 ショート   幅 ワイド

  • キュロット:短めのスカートのように見えるパンツ。

以上が、女性のパンツの代表的な種類です。その他にも、カーゴパンツ、デニムパンツなど、様々な種類があります。

パンツパターン(原型)とデザインについて

原型パターンをデザインに合わせ変更する

パンツデザインにはたくさんの種類があります。

どのようなパンツを作るにも、パンツの原型パターンを利用して作ります。 そしてデザインに合わせて原型パターンを変更していきます。

ウエストからヒップまで、股ぐりなどは一緒であり、パンツ丈、裾幅、パンツラインの狭いor広い、ファスナー位置、ファスナーを右側or左側か、などはデザインによって変更していきます。

スリムパンツは、原型パターンのシルエットラインを細くするため、裾に向かって幅を狭くしていきます。

ワイドパンツは、原型パターンのシルエットラインを広くするため、裾に向かって幅を広くしていきます。

このように、原型パターンをデザインによって変更し、好みのパンツパターンを作成していきます。

サイズを測ろう

ピンちゃん

まずはあなたのサイズを測ろう

ご自身のヌード寸法を表に当てはめ計算し、あなたのF,W, / B,W / F,H / B,Hの計算をして下さい

(例) ウエストサイズ 66cm ヒップサイズ 86cmの原型パターンを描く場合の参考

W 66cm前後差ユルミ合計
F,W66÷2=33cm+1.5cm+0.5cm35cm
B,W66÷2=33cm-1.5cm+0.5cm32cm
H 86cm前後差ユルミ合計
F,H86÷2=43cm+1.5cm2cm46.5cm
B,H86÷2=43cm-1.5cm2cm43.5cm
  • F,W フロントウエスト    35cm
  • B,W バックウエスト     32cm
  • F,H フロントヒップ     46.5cm
  • B,H バックヒップ      43.5cm

となります。

ビギナーちゃん

パンツの股ぐりとか、大丈夫かなぁ?

こまちゃん

パンツ股ぐりなどのフィット感覚は個人差や好みがあります。
原型の型紙を描いて、サンプルパンツを作り試着し、自分好みに変更して下さいね。

ピンちゃん

さぁパンツの原型パターンを描くよ!

パンツ原型パターンの描き方

ここでは伊東式パターン製図にて原型を作成していきます。

パンツ本体の原型描き方

横線 (股下ライン)を引く

  • ⑴ 一直線の横線を引く。(股下ラインになります。)
  • ⑵ 左端に一点を決めて、BH/4の長さをとります。
  • ⑶ ⑵の位置から続きてBH/2+0.5cmの長さを取ります。
  • ⑷ ⑶の位置から続けてFH/2+2cmの長さを取ります。
  • ⑸ ⑷の位置から続けてFH/8の長さを取ります。

ヒップラインと直角直線を引く

  • ⑹ BH/4とBH/2+0.5cmの間から直角に直線を上に向かって引きます。
  • ⑺ BH/2+0.5cmとFH/2+2cmの間から直角に直線を上に向かって引きます。 この縦線がS,S(サイドシーム)になります。
  • ⑻ FH/2+2cmとFH/8の間から直角に直線を上に向かって引きます。
  • ⑼ FH/8の右端の位置から上に向かって25.5cm(前股上寸法 9号サイズの目安)の長さを取ります。
  • ⑽ ⑼のライン上から下に向けて前ヨーク丈を取ります。
  • (11) 前ヨーク丈の位置から横線を引く。(この横線がヒップラインになります。)
  • (12) ⑼⑽の位置から横線を引きます。 この横線から上に0.5cm上げます。
  • (13) ⑻のライン上と(12)のクロス位置から左に1cmズレます。

C,Fラインと前股グリ線を描く

  • (14) ⑻のライン上にFH/16の長さを取ります。
  • (15) (13)の位置から(14)の位置を通過する直線を引きます。 直線を延長しながらFH/8の位置まで股グリとなる曲線を引きます。 このラインがC,F(センターフロント)になります。

ウエストの長さを取る

  • (16) (13)位置からFW/2+0.5cm(ゆるみ)+0.5cm(イセ)+3.5cm(ダーツ分量)の長さを取ります。 コンパスでこの長さを取り印をつけておきます。

脇線とウエスト線の交差点を求める

  • (17) ヒップライン上から脇ヨーク丈の長さを取ります。
  • (18) (16)ウエストの長さとクロスした位置を求めます。

前パンツのダーツを描く

  • (19) FH/2+2cmとFH/8の長さの中心C(センター)の位置を求めます。 センターから上に向かって直角直線を引きます。
  • (20) (19)の縦ライン上にヨーク丈/2の長さを取ります。
  • (21) ウエストラインと(19)がクロスした位置を中心にして3.5cm分量のダーツを取ります。

前パンツのダーツ・ウエストラインを描き直す

  • (21) ダーツの長さが同寸になるようにします。 ダーツラインを曲線で描き直します。
  • (22) ウエストラインを描き直します。

後パンツのC,Bラインを描く

  • (23) (6)の直線上とヒップラインの交差位置から上に後ヨーク丈の長さを取ります。
  • (24) (23)の位置から横線を引き、3.5cm取ります。
  • (25) (24)の位置からその上に4cm 取ります。
  • (26) (25)の位置とヒップラインの位置まで斜め線を引き、股グリライン上のBH/4の位置までカーブ線で後パンツ股グリラインを描きます。 このラインがC,Bになります。

後ウエストラインと後脇線の交差点を求める

  • (27) (25)の位置からBW/2+0.5cm(ゆるみ)+0.5cm(イセ)+2cm(ダーツ分量)の長さをコンパスで取ります。
  • (28) (7)の縦線(S,Sサイドシーム)上とヒップラインが交差する位置から上に向かって脇ヨーク丈を取ります。
  • (29) (27)と(28)が交差する位置を求める。

後パンツ脇線を描く

  • (30) 後パンツ脇線を描く。

後パンツのダーツを描く

  • (31) 後ウエストラインの長さ中心C(センター)を求める。
  • (32) センターの位置から直角直線を引き、ヨーク丈の1/2の長さを取ります。

後パンツダーツを描き直す

  • (33) 後パンツダーツラインを曲線で描き直します。
  • (34) 後ウエストラインを描き直します。

後パンツに印を付ける

  • (35) BH/35の長さを取り、後パンツの印を付けます。

パンツの地の目線を引く

  • (19) 前パンツの地の目線になります。
  • (36) 股グリライン上のBH/4とBH/2+0.5cmの長さの中心C(センター)を求めます。
  • (37) C(センター)から1cmサイドシームよりに移動した位置を後パンツの地の目線とし縦線を引きます。

パンツの股下丈を取る

  • (39) (19)ライン(前パンツ地の目線)上に、⑴股グリラインから下に向かって股下丈を取ります。
  • (40) (39)上に股グリラインから下に、股下/2-股下/12の長さを取ります。 この位置が膝ラインになります。

パンツ裾幅とパンツ膝幅を取る

  • (41) 膝ライン上に後パンツ地の目線を中心C(センター)にしてパンツ膝幅を取ります。
  • (42) 股下丈の位置で後パンツの地の目線を中心C(センター)にして裾幅を取る。
  • (43) 膝ライン上に前パンツ地の目線を中心C(センター)にしてパンツ膝幅を取ります。
  • (44) 股下丈の位置で前パンツの地の目線を中心C(センター)にして裾幅を取ります。

パンツの脇線と内股線を引く

  • (45) 股グリラインの左端BH/4から後パンツの裾位置まで直線を引きます。
  • (46) 股グリラインの後サイドシーム位置から後パンツ裾位置まで直線を引きます。
  • (47) 股グリラインの前サイドシーム位置から前パンツ裾位置まで直線を引きます。
  • (48) 股グリラインのFH/8の右端から前パンツの裾位置まで直線を引きます。

パンツのシルエットラインを描く

  • パンツのシルエットラインを描き直します。
  • (49) 後パンツ内股ラインをデザインに合わせて描き直します。
  • (50) 後パンツ脇線ラインをデザインに合わせて描き直します。
  • (51) 前パンツ脇線ラインをデザインに合わせて描き直します。
  • (52) 前パンツ内股ラインをデザインに合わせて描き直します。

パンツファスナーの描き方

パンツ・ファスナーの見返し、ファスナー取付け台を描く

ファスナーの付けるための、見返し、ファスナー取付け台(持ち出し)を描きます。

見返し・取付け台の幅はファスナーの幅を考えて3~4cmぐらいです。

ピンちゃん

女性の場合、ファスナーの付ける側は、右側でも左側でも、
どちら側でもOKです。

従来 男性は左上(側)・女性は右上(側)でしたが、ジーンズの普及などで女性のカジュアルパンツなどはファスナー左上(側)が多くなりました。

フォーマル系は右上(側)、カジュアル系は左上(側)のように分ける方もいらっしゃいます。

こまちゃん

着用される方の好みでお決め下さいね。

パンツのウエストベルトの描き方

パンツのベルト(ウエストベルト)パターンを描く

ピンちゃん

パンツの原型パターンの完成です。

試着してみよう

サンプルパンツを作成しょう

パンツはサイズを測って原型パターンを描いても、股ぐりなどのフィット感は難しく、シーチングの生地などでサンプルパンツを作成し、フィティング(試着)することをお勧めします。

フィティングポイント

サンプルパンツを着用し違和感を感じるところを探して、原型パターンを修正しましょう。

これら修正を加える事により、一層貴方にフィットする原型パンツパターンを作ることに繋がりなります。

この原型を基に、デザインに合わせてパターンを変更していきましょう。

こまちゃん

あなたの欲しいパンツを作ってみてね。

最後までご覧頂きありがとうございました。



この記事を書いた人

自分が考え、デザインした洋服をつくりたい!
そんな想いを胸に、伊東式パターンを学び、アパレル会社に就職
デザイナーとして活躍、その後、ブランド開発のコンサルタントを経験
みんなさんに、ファッションの世界を、洋裁の楽しさをお届け致します。

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