「レッグオブマトンスリーブ」羊の足の様な袖 今はパワーショルダーなんて言われていますが、流行りの袖、一緒に作りませんか?
洋服を作るプロセスは忍耐と熱意が要ります。しかしその過程を経て完成した洋服には大きな達成感と喜びがあります。
素材の選定からデザイン・型紙の構築、縫製と道のりは長いですが、自分の手で作り上げた洋服を身にまとう瞬間を夢みて、一緒にソーイングを楽しみましょう。
きっと 「かわいい!」がまってる。
Let’s Sewing!
パワーショルダーブラウスの作成工程
まずは、パワーショルダーブラウスを作るための工程を確認しましょう。大きく分けて4工程です。
次に、それぞれの工程の作業詳細です。
基本の1枚袖の原型パターンを展開して、
レッグオブマトンスリーブのパターンに挑戦してね!
パワーショルダーとは、レッグオブマトンスリーブのことです。この袖は腕の上腕部分に大きな膨らみのある袖です。膨らみを出すには袖山の高さや面積を大きく取り、袖山線にギャザーを寄せて立体感を出していきます。
今回は、この3項目を重点に解説致します。
- B-4 一枚袖の原型パターンをデザインにあわせてパターン展開する
- D-2 後涙空きの作り方
- D-3 袖付け
さぁ~はじめるよぉ!
A デザインを考える
A-1 パワーショルダーブラウスのデザインを考えよう
今回の一番のデザインポイントはパワーショルダー(レッグオブマトンスリーブ)です。袖の部分の膨らみを大きくみせるために、首ぐりを詰め、後涙空きにする。袖のダーツ展開して袖口を細くしていきます。
薄めの肩パットを使用し袖の縫い代に取り付けより立体感を出します。(肩パットはお好みでどうぞ)
A-2 材料をそろえる
- 生地 ウール100% サキソニー(綾織り) 杢グレー・ミドル(弱起毛) w巾150㎝×1.5m使用
- 芯地 プレシオン芯地(完全接着剤付き) HC-100 ポリエステル100% 122㎝巾 黒
- 糸 絹ミシン糸 50番 タイヤーHT10R 黒402
- ボタン 1~1.3㎝ 1個
- ボタンループ用紐 約10㎝ほど
肩パットは5㎜巾 1組を使用 裏地で包みます。
B 型紙を描く
今回は囲み製図もありますよ。
9号・Mサイズが基準です。
仕上がり寸法からの囲み製図
まずは、サイズを測ろう!
ご自身の寸法を測ります。それぞれの場所を正確に測りましょう。 今回は9号・Mサイズを目安に作っています。
上記寸法にてパワーショルダーブラウスを作成しております。
囲み製図
B-1 ウエストスローパーの原型型紙を描く
自分のサイズに合うパターンを描くには、洋裁のことに興味があるなら、ぜひ原型パターンを描くことをお勧めします。最初は難しく・大変かもしれませんが、完成度の高い洋服を作ることができます。
まずは、身頃の原型パターン、ウエストスローパーの原型型紙を描きましょう。ブラウスなので、ユルミは3㎝前後で原型を描きましょう。
ウエストスローパー原型型紙の描き方はこららのブログを
ご参照ください
B-2 デザインにあわせて原型型紙を展開する
原型パターンを基にし、デザインに合わせてパターン展開していきます。
後身頃のパターン展開からはじめるよ!
ブラウス丈を測る
- (1) 後身頃の背中心線C,B(センターバック)上にブラウスの着丈を測る。
- 測った位置から横線(垂直線)を前身頃の前中心線まで引く。
展開する部分を線で囲む
- (2) ショルダーダーツの先端の位置から後アームホールに向かって横線を引く。
- (3) (2)の横線→アームホールの上線→肩線→ダーツ線で囲こむ四角形を作る。
ショルダーダーツ展開をする
- (4) ショルダーダーツの先端にピンを打ち、ピンを中心点として赤線で囲まれた面積を首ぐり側に回転させる。
- ショルダーダーツの面積を無くす。
肩線を描きなおす
- (5) 面積を移動(回転)した後の肩線を新しく引きなおす。
ショルダーダーツを後アームホールに移動
- (6) ショルダーダーツ分量を後アームホール(後袖ぐり)に移動させる。
- 後アームホールに間が開きます。 ダーツ展開と言います。
後アームホールを新しく描きなおす
- (7) 後肩線を0.5~1㎝短くする。肩線を短くすることにより袖の膨らみ(ボリューム感)が引立ちます。
- 袖底線を1.5㎝下げる。
- 短くした肩線から袖底を下げた位置まで、新しくアームホールを描きなおす。
- 肩ダーツの分量がアームホール(袖ぐり)に移動し袖ぐりのゆとりに変わります。
後身頃パターンの完成
- 後身頃の地の目線を入れる。
前身頃のパターン展開 描き方
展開する部分を線で囲む
- (9) バストポイント(Apex)から前アームホールのクロスマークまで、直線を引きます。
- (10) (9)の線→ダーツ線→前肩線→前アームホール線を四角形で囲みます
前身頃のダーツ展開をする
- (11) Apexの先端にピンを打ち、ピンを中心点にして線で囲った面積を首側に回転(移動)させます。
前アームホールにダーツが移動
- (12) 前首ぐりのダーツ分量が前アームホール(前袖ぐり)に移動しました。
- これをダーツ展開と言います。
前肩線と前アームホールを描きなおす
- (13) 前肩線を後肩線と同じ長さにする。
- (14) 前袖底を1.5㎝下げる。
- 新しく描きなおした肩線から1.5cm下げた袖底まで新しくアームホールを描きなおす。
- 首ぐりのダーツが前アームホールのゆとりになります。
前身頃パターン完成
- (15) 前身頃の地の目線を入れる。
首ぐり線をデザインする
- (16) 後首ぐり線と前首ぐり線のデザイン線を描く。デザイン線はお好みで描きなおして下さい。
前・後見返しを描く
- (17) 後見返しを描く。 後中心線空き、涙空きにする。見返し巾3~4㎝。
- 涙空きの長さは12㎝ぐらいを目安に。見返しの縦の長さは涙空きの長さに1.5~2㎝ 足しましょう。
- 前首ぐりと後首ぐり、涙空きの長さを測り頭が入るか確認しましょう。
- ループ位置を記入する。ボタン位置を記入する。
- (18) 前見返しを描く。後見返しと同じ巾3~4㎝を取る。
後見返しと前見返しがキレイに繋がるように修正してね!
パターンを抜き出す
- (19) 展開パターンから前・後見返しのパーツを抜き出す。
- 後身頃・前身頃、それぞれに分ける。
- 後身頃の後中心線を「ワサ」にする。 前身頃の前中心線を「ワサ」にする。
- 後見返し後中心線を「ワサ」にする。 前見返し前中心線を「ワサ」にする。
パターンに縫い代を描き足す
- (20) それぞれのパターンに縫い代を付けていく。
- 中心線の「ワサ」には縫い代をつけない。
- 前・後見返しの外周には縫い代を付けない。(ロックミシン仕上げ)
B-3 一袖原型型紙の描き方
次は、袖のパターンてすよ!
前・後身頃のアームホールの長さを測る
袖の原型パターンを描くには、前・後身頃のアームホールの長さを測ります。 このアームホールの長さが袖山の高さを決めるのに使用します。
一枚袖 原型型紙の描き方はこららのブログを
ご参照ください。
さぁ〜 一枚袖原型パターンをレッグオブマトンスリーブに展開するよぉ!
B-4 一枚袖原型パターンをデザインに合わせて展開する
袖の肘ダーツを袖口に移動する
- (22) 袖肘ダーツの下側のライン → 袖補助線 → 袖口ライン → 袖下ラインで四角形を作る。
- 袖ダーツの先端にピンを打ちます。
袖ダーツの展開する
- (23) 袖肘ダーツの下ラインを肘ダーツの上ラインに重ねる。
- 袖補助線に開きができます。
袖口ダーツを描く
- (24) 肘ダーツの先端を頂点として最初の袖の補助線と移動した袖の補助線の間に空きができます。
- この空きが袖口ダーツ分量になります。
- 肘ダーツ分量が袖口ダーツに移動したことをダーツ展開と言います。
ダーツを新しく描きなおす
- (25) ダーツの長さを19 ~ 20㎝ 取ります。
- 新しい頂点から袖口に向かって新しいダーツ線を描きなおします。
袖山を展開する
- (26) 後袖山ライン → 袖中心線 → 後肘線 → 袖下線を囲みます。
後袖山を展開する
- (27) 袖中心線と肘ラインが交差する位置にピンを打ち、ピンを中心点として四角形で囲んだ後袖山面積を左側に倒す。(回転させる)
- 袖中心線より6㎝間を開ける。
前袖山を展開する
- (28) 袖中心線 → 前肘ライン → 前袖下線 → 前袖山線を囲みます。
前袖山側を展開する
- (29) 袖中心線と肘ラインが交差する位置にピンを打ち、ピンを中心点として囲んだ前袖山面積を右側に倒す。(回転させる)
- 袖中心線より6㎝間を開ける。
袖中心線を開く
- (30) 袖中心線を真ん中に12㎝の間が開きます。
袖山を高くする
- (31) 最初の袖山位置からさらに + 10㎝ して袖山を高くする。
- 新しく袖山線を描きなおす。
袖下線を描きなおす
- (32) 袖下線を測りなおして、前袖下線と後袖下線を同寸にする。
- (33) 袖下線を新しく描きなおす。
袖のパターンに縫い代を付ける
- (34) 新しく描きなおした袖のパターンに縫い代を付ける。
お疲れ様でした。
袖のパターンの完成です。
C 生地を裁断する
C-1 生地にアイロンをかける
- 生地にアイロンをかけましょう。地の目を整えて裁断し易くしましょう。
C-2 生地を裁断する
- 生地を中表にします。
- 前身頃のパターンの前中心線(C,F)を生地のワサに合わせます。
- 前見返しの前中心線(C,F)を生地のワサに合わせます。
- 後身頃のパターンの後中心線(C,B)を生地のワサに合わせます。
- 後見返しの後中心線(C,B)を生地のワサに合わせます。
- 4枚のパターンが生地上に固定できたら1つずつ裁断していきます。
前身頃の生地1枚、前見返しの生地1枚、後身頃の生地1枚、後見返しの生地1枚、合計4枚裁断されます。
まだ生地からパターンをはずさないでね。
- 生地を中表にします。
- 袖パターンの袖中心線と生地の地の目が平行になるようにパターンを置き、固定します。
- 袖パターンに沿って裁断していきます。裁断された袖は2枚になります。
まだ生地からパターンをはずさないでね。
C-3 切りしつけで印をつける・芯地を貼る
- それぞれに裁断され、生地上にパターンが固定されている状態で切りしつけをしていきます。
- 切りしつけで印をつけるところは縫製する時に必要な目印になるところてす。
- 袖山ラインや身頃のアームホールなども切りしつけをしておくと縫製し易くなります。
切りしつけが終わったらパターンをはずしてね。
- 芯地をアイロンで貼る
- 前身頃のアームホール・首ぐり・前見返し 後身頃のアームホール・首ぐり・後見返しに貼ります。
- 生地からはみ出た部分はハサミで切り落とします。
C-4 ロックミシンをかける
- 袖下線・袖口にロックミシンをかける。
- 前身頃の肩線・脇線・裾線にロックミシンをかける。
- 前見返しの肩線・見返し周りにロックミシンをかける。
- 後身頃の肩線・脇線・裾線にロックミシンをかける。
- 後見返しの肩線・見返し周りにロックミシンをかける。
さぁ準備が整いましたよ。
ミシンで縫製していきましょう。
D 縫製する
縫製スタート
前見返しの肩線と後見返しの肩線を合わせて縫う
- 前身頃肩線 と 後身頃肩線を合わせて縫う。
- 前見返しの肩線 と 後見返しの肩線を合わせて縫う。
- 縫った肩線それぞれにアイロンをかける。
- 後見返しの背中心線 B,C(バックセンター)にしつけ糸で印をつける。
- 後身頃の背中心線 B,C(バックセンター)にしつけ糸で印をつける。
- 身頃の首ぐり と 見返しの首ぐりを合わせて縫う。
- 後身頃背中心線B,C(バックセンター)しつけ糸ライン と 後見返し背中心線B,C(バックセンター)しつけ糸ラインをあわせる。
- B,Cラインの上から12㎝測ります。
涙空きの縫製を詳しくご説明致します!
背中心線B,Cのしつけ糸から2~3mm離れたところをミシンで縫う
12㎝の先(赤ピン位置)で方向を45°変える。 自動縫いを止めて手回しで2目縫う。
ミシンの方向を45°変えて、手回しで1目縫う。
ミシンの方向を45°変えて、手回しで2目縫う。
ミシンの方向を真っ直ぐに戻し、自動縫いに戻して青ピンまで縫う
- 目印に付けたしつけ糸周り、2~3mm空けて縫っていきます。
- 赤ピン周りは角度を変えながら手回しで1目・1目縫います。
- 青ピンまで縫います。
- 目印のしつけ糸を外します。 外した後背中心線をハサミで切ります。
C,Bを切ります。背中心線の先端を5mm空けて、3方向に切り分けます。
後涙空きはここで少し置いておいて、ボタンループを先に作ります。
- ボタンループ紐でボタンが通る長さを測ります。
- ループに印を付けます。
- 作ったループを青ピンの位置に差し込みます。
- ループの輪の方が表に出てようにします。
- ループを挟み込んで残りの部分を縫います。
- はみ出たループを切る。
- 首ぐりの余分な縫い代を切ります。
- 見返しを引っくり返して角を出します。
- 見返し側を1~2ミリ控えてアイロンをかけます。
- 涙空きの見返し側も、同じように1~2ミリ控えてアイロンをかけます。
首ぐりステッチをかける。涙空きの先端にきたら、方向を45°を変えてミシンの自動を止め、手回しで2目縫う。
ミシンの方向を45°変えて、手回しで2目縫う。
ミシンの方向を45°変えて、手回しで2目縫う。
ミシンの角度変え、自動に戻して首ぐりのステッチをかけていく
- 首ぐりにステッチをかけていく。
- 自動から手回しで2目ずつ縫っていく。
- 角度を変え2目縫う。
- 同じように角度を変え2目縫う。
- ミシンを自動縫いに戻してステッチをかけていく。
- 前身頃の脇線 と 後身頃の脇線を縫い合せます。
- 縫い合せた縫い代を割ってアイロンをかけていきます。
- 袖のダーツを縫う
- 縫ったダーツにアイロンをかける。ダーツは後袖側に倒す。
- ミシン目 (縫い目の長さ) の大きさを一番大きくする。
- 袖山線にギャザーを入れるためのステッチをかける。
- ギャザー用ステッチは前~後クロスマークの間にかける。
- ギャザー用のステッチ糸を長く引き出します。
- 上糸と下糸を結びます。
- どちらか一方の糸を引き、袖山にギャザーを寄せていく。
- 袖の前クロスマーク ~ 袖の後クロスマークまでの間にギャザーを寄せて入れる。
- 袖下線を縫い合せる。
- 縫った袖下線を割ってアイロンをかける。
身頃側の前クロスマークから後クロスマークまでの長さを測る。
ギャザーをよせた袖山の前クロスマークから後クロスマークまでの間の長さを測る。
身頃側のアームホールの長さ と 袖ギャザーの長さを
同寸にするよ!
- 前身頃のクロスマーク ~肩 ~ 後身頃のクロスマークまでの間の長さをメジャーで測る。
- 袖の前クロスマーク ~ 袖山 ~ 後クロスマークまでの長さメジャーでを測る。
- 身頃側の長さ と 袖側の長さを同寸にする。
- 身頃の肩線と袖山を合わせてピンで止める。
- 身頃の袖底と袖側の袖底を合わせてピンで止める。
- 身頃の前クロスマークと袖前クロスマークを合わせてピンで止める。
- 身頃の後クロスマークと袖後クロスマークを合わせてピンで止める。
- 間を均等にピンで止めていく。
- 袖と身頃を縫い合せる。
- 縫い合せた袖の縫い代をカットしながらロックミシンをかけていく。
- 肩パットを付ける(お好みでどうぞ)
- 肩パットは裏地で包み、中心線をしつけ糸で印をつける。(後でしつけ糸を取る)
- 袖の縫い代を袖側に倒してよりギャザーの立体感を強調する。
- 身頃肩線と袖縫い代に肩パットを付ける。
- 袖口をまつり縫いする。
- 裾上げしてまつり縫いをする。
- ボタンを付ける。
手間ひまかけて作った洋服には、あなたの愛情がいっぱい詰まっています。この服を装い、これからの日々を楽しく過ごされることを心から願っております。
最後までご覧いただきありがとうございました!
今回使用したアイロンです。
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