今回はYouTubeショート動画で大好評だった「Swingスリーブ」
視聴者の皆様から「袖の取り外しのできるブラウスにしてほしい」と言うリクエストを多数いただきましたので、ついに作ってみました。使用する生地は、ショート動画でも登場したシフォンジョーゼット50 D(デニール)です。
シフォン生地は透け感が美しく、なめらなドレープ、軽さと薄さに優れた生地です。シフォン生地の特徴と魅力を生かし、二の腕をカバーしてくれる袖付きと、取り外しができ、ノースリーブにもなる、夏にぴったりのデザインブラウスです。

しかし、その反面、シフォン生地はとても扱いが難しく、ソーイング初心者さんにはややハードルが高め…。
ソーイング初心者さんには、別の扱いやすい生地で挑戦するのもオススメです。(作り方は同じなので安心してくださいね。)
今回のブラウスの最大のポイントは、円形の型紙を使って作るスイングスリーブです。 型紙はとてもシンプルで縫製しやすいように工夫してあります。
シフォンジョーゼット生地
シフォンジョーゼット生地の特徴
シフォン生地とは、薄手で透け感のある柔らかい織物で、主に合成繊維(ポリエステル、ナイロン)やシルク、レーヨンなどで作られます。 極細の強撚糸(きょうねんし)を使い、粗く平織りにすることで、糸の間に隙間ができ、透けて見えるのが特徴です。

「シフォン」はフランス語で薄い布と言う意味だよ!


シフォン生地は、ドレープ性に優れ、軽量、透け感、なめらかな手触り。春夏のレディース衣料に多く使われ、またエレガントな印象を与えることから、ブラウス、ワンピース、スカート、ドレスの素材にもよく利用されます。シワになりにくく、強度が強い。
シフォンジョーゼットには、表面にシボ(シワ模様)が、あります。
シフォンジョーゼット生地の取り扱い
このシフォン生地は、美しさとは裏腹にソーイング上級者でも、とても扱いにくい生地です。


シフォン生地は滑らかなので、とても滑りやすく、裁断する際とても苦労します。 家庭用ミシンでも縫えますが、薄地専用の縫製道具が必要となります。


ポリエステルシフォン生地の洗濯は、洗濯ネットに入れて洗うことができます。しかし、手洗いをお勧めします。乾燥はハンガーで吊るし干しがオススメです。
使用したシフォン生地
使用したシフォンジョーゼット生地は「大塚屋」で販売されていたシフォンジョーゼット生地を使用しています。
「大塚屋」のネット販売では検索しても見つかりませんでした。
他社のシフォン生地でブラウスを作っても大丈夫です。工程は同じです。
- ポリエステル-100%
- 50Dデニール
- 日本製
- 148cm巾 1mにつき ¥1,000(税込¥1,100)
- 商品番号 SC59 ※7897 5049 51


シフォンブラウスのデザイン説明
シフォン生地の特徴を取り入れる
シフォン生地は薄い透け感、ドレープ性が大きな特徴です。
身頃のデザインは、このドレープを取り入れ、前中心線上にワンタック(インタック)を入れます。前身頃のワンデザインになりアクセントになります。
取り扱いの難しい生地ですが、ワンタックなら簡単に取り入れることができます。


前身頃と後身頃の脇線を合わせて、前と後の身頃が1つになった、型紙を作成します。このことで脇線縫製がなくなり、縫製工程が1つなくなります。また、脇線縫製による生地のパッカリングや縫い代が透けて見える事もなく、シフォン生地の美しさをそのまま残せます。
生地の特徴を活かすために、無駄はもちろん、なるべく縫い代を無くして生地の美しさを出していきます。
そのため、身頃の型紙作りは重要です。
一見簡単な型紙のように思えますが、しっかりとバストダーツ処理された型紙を作ることにより、シルエットの美しさを引き出すことができます。


是非、基本の型紙を起こし、パターン展開をすることをお薦めします。
円形型紙を利用した袖作り
「Swingスリーブ」とは、シフォン生地のドレープ感と滑らかな落ち感が、袖を揺らした時に現れる「スイング感」です。
これを表現するには、円形の型紙を利用しました。ショート動画(リール動画)を見て驚かれた方も多いと思います。
これも一見簡単な型紙に思えますが、シフォン生地の特徴を活かした合理的な型紙です。
今回は、視聴者の方から、「取り外しのできる袖にしてほしい」のご提案で、袖ぐり周りと身頃のアームホールにスナップボタンを取り付け、取り外しできるよう工夫しました。
袖丈も少し長めにし、二の腕カバーもできます。取り外しすれば、ノースリーブになり、2wayで着こなすことができます。ちょっと欲張りなブラウスです。





是非、シフォン生地の透け感の美しさと揺れる袖の美しさ、着こなしの楽しさを味わえるブラウスをお作りください。
シフォンブラウス型紙説明
仕上がり寸法



まずは、サイズを確認してね!
サイズはフリーサイズですが、9号・Mサイズを中心に製作しております。


身頃の囲み製図


型紙描き方
自分のサイズに合う洋服を作るには、洋裁に興味があるなら、是非、原型パターンを描くことをお薦めします。最初は難しく、大変かもしれませんが、完成度の高い洋服を作ることができます。
まずは、身頃の原型パターン、ウエストスローパーの原型型紙を描きましょう。
伊東式パターンによる原型の描き方は別ブログをご覧ください。
ブラウスのなで、ユルミ3cmの原型を使用します。この原型をもとに展開します。







伊東式型紙を作成するのに欠かせない尺です!
デザインに合わせて原型型紙を展開する
原型パターンを基に、後ショルダーダーツ展開と前バストダーツの展開をします。
このダーツ展開をすることでシルエットの美しい身頃を作ることができます。





このダーツ展開を理解することがパタンナーの大切な仕事だよ!
展開する部分を囲む


⑴後ショルダーダーツの先端の位置から後アームホールに向かって横線を引く。
この線からアームホールの上線→肩線→ダーツ線で囲む四角形を作る。
後ショルダーダーツを展開する


⑵ショルダーダーツの先端にピンを打ち、ピンを中心点として青線で囲まれた四角形を首ぐり側に回転させる。
回転させた後は赤線のような図形になります。
ショルダーダーツの面積をなくします。
肩線を描きなおす


⑶面積を移動(回転)した後の肩線を新しく引きなおす。
肩ダーツの分量が後アームホール(袖ぐり)に移動し袖ぐりのゆとりに変わります。
後袖底を下げる


⑷後袖底を2cm下げる。
新しくアームホールを描きなおす


⑸新しくアームホールを描きなおす。 肩先から始まり、2cm下げた袖底まで新しくアームホール線を描き直します。



次は前身頃だよ!
展開する部分を囲む


⑹前アームホールのクロスマークからAPEX(バストポイント)に直線を引く。
この線からアームホールの上側→肩線→バストダーツ線で四角形を囲む。
前バストダーツを展開する


⑺APEX(バストポイント)にピンを打ち、このピンを中心点として青線で囲った四角形を前首側に回転させ、赤線の四角形のように首ぐりにつけます。
バストダーツ分量をなくします。
肩線を新しく描きなおす


⑻新しく肩線を描きなおす。(後肩線と同寸にする)
前アームホールが2つに分かれ、バストダーツの分量がアームホールに移動します。これをダーツ展開と言います。
袖底を下げる


⑼前身頃の袖底線を2cm下げる。
新しくアームホールを描きなおす


⑽新しく描きなおした肩線から2cm下げた袖底まで、新しくアームホールをかきなおす。
パターン展開終了


基本のブラウス原型型紙の完成です。
着丈とデザイン線を入れる



この型紙を基に、ブラウスのデザイン線をプラスします!
① 着丈をプラスします。後身頃中心線と前身頃中心線、脇線を伸ばします。(着丈はお好みでどうぞ。)


② 肩線を移動します。 前肩線を0,5cm削ります。後肩線は0,5cm増やします。


③ ネックライン(前首ぐりと後首ぐり)にデザイン線を入れます。


④ 前身頃のC,F(センターフロント)にタックの分量を加えます。3cmのインタックにします。C,Fを新しく描いたタック線に移動し、ワサにします。
⑤ 後あきの止め位置を決めます。頭が入るか?確認しましょう。


確認の仕方 前首ぐりの長さ+後首ぐりの長さ+あき止めの長さを計算します。合計の長さが頭の長さ以上あれば大丈夫です。
肩線と首ぐりを描きなおす


【A】前身頃の肩線と後身頃の肩線を合わせます。
【B】前首ぐりと後首ぐりの繋がりがよくなるように書きなおします。
【C】前アームホールと後アームホールが滑らかに繋がるように描き直します。
パターンを一枚パターンにする


前身頃と後身頃の脇線を合して一枚の型紙にします。脇線の縫製がなくなりシンプルな型紙になります。
円形の袖はアームホールも円形のため、身頃のアームホールに前後差があるとバランスを崩します。身頃のアームホールは前後とも同じ長さにします。
前身頃の中心線から、タック分量をとったところを生地のワサにし、後身頃の後中心線はハギにします。



最後に縫い代を付けます


シフォンブラウス縫製の下準備
薄生地専用の道具
シフォン生地のようなちょっと特殊な生地は、縫製上、難しく、扱いにくい生地です。
この生地を少しでも縫いやすく、取り扱いやすくするためにも、専用の道具が必要となります。
洋裁道具は種類やサイズなど多く、ちょっとした出費になりますが、一度購入すれば長く使えるので、是非ご購入頂きお役立て下さい。
縫製道具
- 押さえ金 家庭用ミシン専用 薄物専用押さ(HA) (KAWAGUCHI 09-010)
- 三巻押さえ金
- ミシン針 家庭用ミシン針 HA×1GT #7 極薄生地専用 (オルガン針)
- 糸(シャッペスパン) 薄地用ミシン糸 #90 ポリエステル100%
- (レジロン) ニット用ミシン糸 #50 ナイロン100%
- ロールカッター
- 金具付き尺
- カッター台
- 薄紙 ハトロン紙 or トレーシングペーパー


裁断前の下準備
とにかく、「滑りやすい生地を固定する」ことが大事です。生地の固定には、重しになるもの、止めるクリップ、など用意します。
- 生地の両端(耳)を合わせ、ミシンで縫い合わせます。この作業で生地が固定しやすくなります。
- 薄紙の用意します。この紙はハトロン紙、トレーシングペーパーでOKです。
薄紙を貼り合わせて、身頃の型紙と同じ大きさになるように、薄紙を用意します。
裁断の時に使用します。この薄紙を裁断時に使用する事で裁断の時に起こる、生地のズレを防止しやすくなります。是非、ご用意下さい。


シフォンブラウスの裁断
身頃裁断
シフォン生地の裁断で大切なことは、ズレないこと!非常に滑りやすい生地なので、ズレないよう裁断すること!
そのために従来の裁断のは違う方法で裁断します。
一番下に薄紙を置きます。その上にシフォン生地を置きます。そして、1番上に型紙を置きます。
シフォン生地に皺(シワ)が寄らないように長尺を使って皺を取り除き、平面にします。
薄紙の端と生地のワサを綺麗に重ねます。この3枚をクリップで固定したり、重しで固定します。
この3枚をこの順に重ねて置き、ロールカッターで型紙ごとカットします。


ロールカッターを使用する時、金具付きの尺を添えてカットしてください。尺を上から押さえることでズレを防止し、3枚同時にカットしやすくなります。
袖 円形裁断
まずは、袖丈の長さを決めます。 身頃のアームホールの長さを測ります。
袖丈の長さが円形の半径になります。身頃のアームホールの長さが袖の内円の円周の長さになります。




- 生地を正方形にCUTします。1/4に折ります。
- 正方形の中心点からメジャーを使って円形を描くように長さを測っていきます。外周をCUTします。
- 生地を広げると円形になっています。円形の生地に直径線を縦と横に引きます。
- 横直径線の下に内円を作り、内円をCUTします。
- 円形の袖の外周は三巻で端始末します。


シフォンブラウス縫製
パッカリングを起こす場合、薄紙を生地下に置き、ミシンで縫製して下さい。
パッカリングとは、ミシンで縫製する際に生地が縮むことにより、縫い目周辺に発生する縫い縮みや引きつれ、波打ったシワのことです。


シフォン生地には、芯地は貼りません。
本来なら、アームホールや首ぐりに伸び止めテープなど貼りますが、シフォン生地が薄いので芯地を貼っているのが透けて見えます。 あまりブラウスの見栄えが良くありません。
今回は伸び止めテープを使用せずに、アームホールや首ぐりには、捨てミシンをかけておき、シフォン生地が伸びるのをふせぎます。
縫製前の下準備として、先にアームホールと、首ぐりに0,5cm巾ぐらいのステッチをかけておきます。



さぁ ミシンで縫いましょう!
前身頃のタックを合わせて縫います。
⑴ 前身頃のタックをインタックになるように折り畳みます。
⑵ タック部分のみミシンで縫い合わせます。


肩線を袋縫する
⑶ 生地を外表に合わせ出来上がり肩線より上を縫い合わせます。
⑷ 余分な縫い代をCUTします。


⑸ 生地を裏返し、出来上がりの肩線をミシンで縫い合わせます。
⑹ 袋縫に仕上がります。


ミシンの押さえを三巻に変更します。
⑺ 三巻押さえを使い、後背中心の縫い代始末をします。
三巻巾を3mmぐらいにします。
⑻ 三巻始末後、押さえを元に戻し、後背中心線をあき止まりまで縫い合わせます。


⑼ 後背中心線の縫い代を割り、アイロンをかけます。あて布をしてからアイロンをかけます。
⑽ 後背中心線の開きに端ミシンをかけます。


(11) ブラウスの裾を三つ折りし裾上げをします。
(12) ミシンで縫い裾上げをします。


共布でパイピング始末をします。
(13) 共布でパイピング用の生地を作ります。
ブラウスの首ぐりに合わせパイピング布を巻いていきます。
ミシンで縫い合わせます。
(14) パイピングで首ぐりの縫い代を包み込んで折曲げます。表側は1cm裏側は1,3cmなるように折曲げます。


(15) ボタンループを作くります。共布で紐を作り釦が通る大きさに形を整えます。
(16) ループを首のパイピングに挟み、とりつけます。


(17)首ぐりの内側をパイピングで包み込みピンでとめます。
(18) 表側から落としミシンをかけます。


(19) 身頃のアームホールの長さを測ります。
共布のでパイピング用の生地をCUTします。
(20) 身頃のアームホールにパイピング布を巻いていきます。両折りバイアス仕上げにします。


(21) 身頃のアームホールとバイアステープをミシンで縫い合わせます。
(22) 余分な縫い代をCUTします。


(23) バイヤステープを身頃の内側に倒しミシンをかけます。
(24) 身頃のアームホール始末の完成です。


身頃のアームホールの長さを測り、袖の生地を裁断します。
(25) 袖の外周を三巻始末をします。
(26) 押さえを三巻に変え、巾3mmの三巻にしてミシンをかけます。


(27) 袖の内側の円にギャザーを寄せます。
身頃のアームホールの長さと同じにします。
(28) 共布でパイピングで縁取り仕上げにします。


(29) 共布のバイアステープを一周し輪っかにします。(長さは身頃のアームホールの長さと同じにします。)
(30) 袖の内側にバイアステープを巻いていきます。ミシンで縫い合わせます。


(31) バイアステープを折曲げ袖の内側の縫い代に巻いていきます。1,3cm幅にします。
(32) まち針を打ちかえ落としミシンをかけます。


(33) 身頃生地をボディに着せます。袖を取り付けます。
スナップボタンの付け位置を付けます。
(34) 身頃側と袖側にスナップボタン位置の印を付けます。(水で消えるチャコペン使用)


(35) スナップボタンの大きさはお好みでどうぞ。(身頃と袖のバイアステープからはみ出ない大きさにして下さい。)
(36) 身頃側にスナップボタンの凹を、袖側には凸を取付けます。


(37) 身頃側8個、袖8個を取り付けます。
(38) 後首、開きバイアスにボタンを取付けます。
ループをかけます。





シフォンブラウスの完成です♪


シフォン生地は扱いづらい生地ですが、完成すればエレガントなブラウスになります。是非、お試しください。



最後までご覧頂きありがとうございました♪
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