「カワイイ」から「キレイ」に! 優雅さと清楚な両面を持ち合わせたワンピースなら春のイベントデビュー服にピッタリなアイテムです。
シンプルで洗練されたデザインで、首周りやポケットに少し装飾を施し、カジュアルさとエレガントを演出したワンピースをご提案致します。 素材はサマーツィードを、色合いはピンク、春から初夏にかけて着心地の良いワンピースです。
洋服を作るプロセスには忍耐と熱意が必要です。その過程を経て完成した洋服には大きな達成感と喜びが舞い上がります。
素材の選定からデザイン・型紙の構築、縫製へと道のりは長いですが、自分の手で作り上げた洋服を身にまとう瞬間を夢みて、一緒にソーイングを楽しみましょう。
さぁ キレイなレディになって春のイベントに自信を持って出かけましょう。
サマーツィードワンピースの作成工程
まずは、ワンピースを作るための工程を確認しましょう。 大きく分けて4工程です。
次に、それぞれの工程作業の詳細です。
今回は、この3項目を重点に解説致します。
- B-2 身頃の原型型紙(パターン)をワンピースデザインに合わせて、三面体(前・後・脇身頃)に変更する。
- D-3 ポケットの付け方。
- D-6 首周りのブレードの付け方。
さぁ〜はじめるよぉ!
A デザインを考える
A-1 ワンピースのデザインを考えよう
- 生地(素材)はサマーツィード、春から初夏にかけてのツィードです。太目の糸で織り上げられているため表面は粗っぽいですが、カジュアルとエレガントな両面を演出できます。
- 今回はピンクの色を選び、春らしさをイメージさせます。
- パターンは三面体を利用し、体のラインを少し意識しながらも、量感のあるシルエットを作りだし、上品でエレガントなワンピースに仕上げます。
- ポケット・首周りにブレードを付けてシンプルなワンピースに可愛いらしさをプラスします。
A-2 材料をそろえる
材料説明
- 表地 柔らかさと軽やかな尾州産のサマーツィード、春から初夏にかけてワンピースを作るのにピッタリの素材です。(P42%・R39%・N15%・A4%)
- 裏地 ベンワールド AK5310
- 糸 タイヤー50番 絹ミシン糸
- 芯地 プレシオン芯地 HC-100
- 伸び留めテープ 平 片面アイロン 白 15m/m × 25M
- コンシールファスナー 56cm #512
- ブレード MOKUBA 9334E No,6
B 型紙を描く
仕上がり寸法からの囲み製図
まずは、サイズを確認してね!
洋服の仕上がり寸法です。 今回は9号・Mサイズを目安に作っています。
上記寸法にてワンピースを作成しております。
B-1 ウエストスローパーの原型型紙を描く
自分のサイズに合うパターンを描くには、洋裁のことに興味があるなら、ぜひ原型パターンを描くことをお勧めします。最初は難しく・大変かもしれませんが、完成度の高い洋服を作ることができます。
まずは、身頃の原型パターン、ウェストスローパーの原型型紙を描きましょう。ワンピースなので、ユルミは3cm前後で原型を描きましょう。
B-2 デザインにあわせて原型型紙を展開する
原型パターンを基にし、デザインに合わせてパターン展開していきます。
後身頃のパターン展開からはじめるよ!
ワンピース丈を測る
- (1) 後背中心線・C,B(センターバック)上にワンピースの着丈をとります。 着用される方のお好きな着丈をお取り下さい。 (今回は85cmにしています。)
- その位置から前中心線C,F(センターフロント)に向かって横ライン(垂直線)を引く。このラインが裾ラインになります。
- (2) 後ウエストラインから、後ヨーク丈を下に向かってとります。 着用される方の後ヨーク丈をお取り下さい。(今回の後ヨーク丈は19cmです。)
- その位置から前中心線C,F(センターフロント)に向かって横ラインを引く。 この横ラインがヒップラインになります。
後ショルダーダーツ展開をする
- (3) ショルダーダーツの先端の位置から後アームホールに向かって横線を引く。この線からアームホールの上線→肩線→ダーツ線で囲む四角形を作る。
- (4) ショルダーダーツの先端にピンを打ち、ピンを中心点として赤線で囲まれた四角形を首ぐり側に回転させる。ショルダーダーツの面積を無くす。
- ショルダーダーツ分量を後アームホール(後袖ぐり)に移動しました。これをダーツ展開と言います。
肩線を描きなおす
- (5) 面積を移動(回転)した後の肩線を新しく引きなおす。
後アームホールを新しく描きなおす
- (6) 袖底線を1.5cm下げる。
- (7) 新しく描きなおした肩線から袖底を下げた位置まで、新しくアームホールを描きなおす。
- 肩ダーツの分量がアームホール(袖ぐり)に移動し袖ぐりのゆとりに変わります。
後サイドシームラインに切り替え線を入れる
- (8) 後サイドシームライン上の後クロスマーク位置 (A) を起点とする。
- (9) 後ウエストラインと後サイドシームラインのクロスする位置に1.5cmを両側に取ります。
- 後ヒップラインと後サイドシームラインのクロスする位置に1.5cmを両側に取ります。
- 裾線と後サイドシームラインがクロスする位置に1.5cmを両側に取ります。
- 後身頃のサイドシームラインを A → B → C → D の順番に直線でつないでいきます。
- 脇身頃のサイドシームラインを A → E → F → G の順番に直線でつないでいきます。
サイドシームラインを描きなおす
- (10) 直線で描いた線を全体的につながり良くするため、丸みのある滑らかなラインに引きなおす。
- 描き出し点 A (クロスマーク)から下3cmぐらいは後身頃線と脇身頃線を重ねて同ラインにする。
次は前身頃側だよ!
前袖クロスマークとAPEXを結ぶ
- (11) 前アームホールのクロスマークからAPEX(バストポイント)に直線を引く。
前バストダーツを展開する
- (12) (11)の直線から→アームホールの上側→肩線→バストダーツ線で四角形を囲む。
- (13) APEX(バストポイント)にピンを打ち、このピンを中心に四角形を前首側に回転させ、バストダーツ分量を無くす。
- アームホールが2つに分かれ、バストダーツの分量が、アームホールに移動します。これをダーツ展開と言います。
肩線・アームホールを新しく描きなおす
- (14) 袖底を1.5cm下へさげる。
- (15) 肩線を新しく描きなおす。後肩線と同寸になるようにする。
- (16) 新しい肩線から下げた袖底まで新しくアームホールを描きなおす。
- バストダーツが前アームホールのゆとりになります。
前サイドシームラインに切り替え線を入れる
- (17) 前サイドシームライン上の前クロスマーク位置 H を起点とする。
- (18) 前ウエストラインと前サイドシームラインのクロスする位置に1.5cmを両側に取ります。
- 前ヒップラインと前サイドシームラインのクロスする位置に1.5cmを両側に取ります。
- 裾線と前サイドシームラインがクロスする位置に1.5cmを両側に取ります。
- 前身頃のサイドシームラインを H→ I → J → K の順番に直線でつないでいきます。
- 脇身頃のサイドシームラインを H → L → M → N の順番に直線でつないでいきます。
サイドシームラインを描きなおす
- (19) 直線で描いた線を全体的に繋がり良くするため、丸みのある滑らかなラインに引きなおす。
- 描き出し点 H (クロスマーク)から下3cmぐらいは前身頃線と脇身頃線を重ねて同ラインにする。
後・前首ぐりを描きなおす
- (20) 後首ぐりラインをお好みで描きなおす。(今回は少し大きくしています。)
- (21) 前首ぐりラインをお好みで描きなおす。(今回は少し大きくしています。)
後・前見返しラインを描く
- (22) 後見返し (幅3cmぐらい) を描く。
- (23) 前見返し (幅3cmぐらい) を描く。
それぞれの型紙のパーツを抜き出す
- (24) 前身頃・脇身頃・後身頃、 ポケット、首ぐりの見返し、各型紙をそれぞれ描き出す。
- (25) ポケットの付け位置を型紙に描く。(ポケット位置は着用される方に合わせてお決め下さい。)
次は、袖の型紙を描くよ!
B-3 一枚袖の原型パターンを描く
アームホールの長さを測る
- (26) 後・前身頃のアームホールの全長を測る。
一枚袖の原型型紙(パターン)を描く
アームホールの全長の長さを基に、一枚袖の原型型紙を描きます。
B-4 デザインに合わせて展開する
- (27) 一枚袖の原型型紙を変更していく。
袖を半袖にする
- (28) 袖山から下に26cm取り半袖にする。
- 袖下線は真っ直ぐ下に向けて引きなおす。
袖山線にアームホールのクロスマークをつける
- (29) 前身頃の袖底位置から前アームホール位置までの長さを測る。
- (30) 前袖山線の袖底位置から(29)の長さを測り、袖山線のクロスマークを付ける。
- (31) 後身頃の袖底位置から後アームホール位置までの長さを測る。
- (32) 後袖山線の袖底位置から(31)の長さを測り、袖山線のクロスマークを付ける。
ワンピースパターン 完成
- (33) それぞれのパターンに地の目線を描く。前身頃の前中心線・前見返しは「ワサ」にする。
ワンピース表地 パターン縫い代の付け方
- それぞれの表地パターンに縫い代を付ける。
ワンピース裏地 パターン縫い代の付け方
- 裏地のパターンは表地パターンを使って作ります。
- 前身頃・後身頃の見返し部分を取り除きます。
- 着丈は表地より短くする。(今回は82cmにしています。)
- 袖丈は表地より短くする。(今回は23cmにしています。)
- ポケットの裏地は表地の見返し部分を取り除きます。
- それぞれの裏地パターンに縫い代を付ける。
C 生地を裁断する
縫製のための下準備をしていきましょう。
C-1 生地にアイロンをかける (地直し)
地直しとは、生地は生産過程などで、歪み(ゆがみ)が起きます。 歪んだまま裁断・縫製するとキレイな服を作ることができません。また、洗濯などをすると縮み・型崩れが起きせっかくの洋服が台無しになります。
これらを防ぐために、布目を正しく整える作業を「地直し」と言います。
- ビニール袋に生地を入れ霧吹きで生地を湿らせる。
- ビニールの端を閉じ、しばらくおいておきます。
- 生地を取り出してアイロンで生地の皺(しわ) 縦糸・横糸がそれぞれ真っ直ぐなるようにアイロンして行きます。
C-2 型紙を生地上に置き固定し裁断する
- 生地を二つ折りに、生地の「わさ」側に前身頃・前見返しを並べる。
- 生地の「わさ」線 (縦線) と パターンの地の目線を平行にして型紙を置き、固定していく。
- パターンを一つ一つ丁寧にカットしていきましょう。
- 前身頃の生地1枚、前見返しの生地1枚、脇身頃の生地2枚、後身頃の生地2枚、後見返しの生地2枚、袖の生地2枚、ポケットの生地2枚、裁断されます。
C-3 裏地を裁断する
- 表地と同様に、裏地も裁断していく。
- 前身頃の裏地 1枚、 脇身頃の裏地 2枚、 後身頃の裏地 2枚、 袖の裏地 2枚、ポケットの裏地 2枚。
C-4 生地に芯地・印を付ける
- それぞれに裁断され、生地上にパターンが固定されている状態で切りしつけをしていきます。
- 切りしつけで印を付けるところは縫製する時に必要な目印・合印になるところです。
- 裏地も同じようにチャコペーパーを使い、合印を付けていきましょう。
印付けが終わったらパターンを外してね。
- 薄いブルー色の位置に芯地をアイロンで接着していく。
- 前・後見返し、ポケット、身頃裾幅・袖裾幅は全面に芯地を貼りましょう。
- 前身頃と脇身頃のポケット位置にも補強のため芯地を貼りましょう。
- 生地からはみ出した芯地はハサミで切り落とします。
- 肩線・アームホール・首ぐり、 前・後・脇身頃のサイドシームの縫い代・後背中心線に伸び止めテープを接着していきます。 (ツィードの生地は織地が緩く・柔らかいためテープ状の芯地を接着し縫製し易くしましょう。)
さぁ準備が整いましたよ。
ミシンで縫いましょう。
D 縫製する
- 前身頃と脇身頃を縫い合わせます。
- 後身頃は背中心線上にコンシールファスナーの長さ(50cm)の印を付けます。
- 後身頃は50cmの位置(ファスナー止まり)を境目として2つに分けて縫います。
- 首ぐりから50cmまでは、ファスナー用の仮縫い。ミシン縫い目を大きくし縫い合わせます。
- 50cmから下(裾)までは本縫 ミシン目を通常の大きさに戻して縫い合わせます。
- 前身頃と脇身頃の縫い代 と 後身頃の背中心線を割りアイロンをかける
- コンシールファスナーの準備
- ファスナーの長さを50cmにする。
- ファスナーの下止めを50cmより下に移動する。
- 下止めが動かないように固定する。
- 今回は固定のため、下止めの下を糸で巻き止めました。
- ファスナー止め金具(糸で巻いた下)より1cmほど下側をCutする。
- ファスナーの縫い代(リボン部分)にアイロンをかける。
- 後身頃に準備したファスナーを置く。片方だけファスナーリボンと後身頃背中心縫い代を固定する。
- コンシールファスナーのスライダーを下まで下げる。
- もう片方のファスナーリボンを後身頃の背中心縫い代に固定していく。
- コンシールファスナー専用の押さえ金に変える。
- ファスナーと縫い代を縫い合わせます。
- 途中でファスナーのスライダーを上げて移動させます。
- 他方も同じ様に縫い合わせます。
- ポケットにブレードを縫い付けていきます。
- ポケットの表地とポケットの裏地の両端のみ縫い合わせます。
- 中間部分を開けておきます。
- (この開きからポケットをひっくり返します)
- ポケットの表地と裏地を縫い合わせながら、ポケット周りを縫製します。
- 余分な縫い代を切り落とします。
- 縫製した縫い代を折曲げてアイロンをかけます。
- 開けておいた部分から、表地を引き出します。
- ポケットを整えるためアイロンをかけます。
- 裏地が表地からはみ出ないように2~3mm控えながらアイロンをかける。
- 開け口をまつり縫いする。
ポケットの付け方の
大切なポイント!
前身頃のポケット付け位置から0.5mm内側に寄せる。(反対側のポケット付け位置も0.5mm内側に寄せる。) ポケットの浮を付ける。
- 前身頃と後身頃の肩線を縫い合わせる。
- 後身頃のサイドシームと脇身頃を縫い合わせる。
- 裏地の身頃を縫い合わせる。
- 裏地の袖を縫い合わせる。
- 裏地身頃と表地の見返しを縫い合わせます。
- 表地の袖下側を縫い合わせる。
- 袖の縫い代を割りアイロンをかける。
- 表地の袖山縫い代にイセ用のステッチをかける。
- 平行に2本、イセ用のステッチをかける。
- イセ用の糸が抜けないように両端をむすんでおく。
- 前身頃アームホールのクロスマークから肩を通過し後身頃アームホールのクロスマークまでの長さを測る。
- 袖山の前クロスマークから袖山を通過し後クロスマークまでの長さを測る。
- この差をイセの長さとする。
- 袖山にイセを入れていく。
- 片側のイセ用糸を引き、生地に皺(しわ)=イセを入れていく。
- 袖山にイセを入れた後、もう一度長さを測り、身頃のアームホールの長さと同寸にする。
- 袖山のイセをアイロンで整え、綺麗な袖山を仕上げていく。
- 袖山の縫い代にアイロンをかけ、縫い代のイセも整える。
- 身頃のアームホールと袖を合わせる。
- 肩線と袖山のトップ、
- 前身頃のクロスマークと袖の前クロスマーク、後身頃のクロスマークと袖の後クロスマーク、身頃の袖底と袖の袖底を合わせる。
- 等間隔にまち針を打ち、身頃と袖を合わせていく。
- ミシンで縫い合わせる。
- 表地身頃と裏地身頃を中表にして合わせる。
- 表地身頃の首ぐりと裏地身頃の首ぐりを合わせる。
- ミシンで縫い合わせる。
- 表地身頃のファスナー縫い代と裏地身頃のファスナー縫い代を合わせ、ミシンで縫い合わせる。
- 首ぐりの余分な縫い代を切り落とす。
- 縫い代を折曲げてアイロンをかける。
- 縫い代を折曲げて首ぐりの角が出るようにひっくり返す。
- 全体の身頃をひっくり返し、表地身頃に裏地身頃を入れ込む。
- 裏地側の見返しを2~3mm控えてアイロンをかける。
- ファスナー部分にもアイロンをかける。
- 服の全体を整える。
- 首ぐりにブレードを付ける。
- ブレードを首ぐりの長さより3cmぐらい長くしておく。
- 首ぐりの3cmぐらい開けてからミシンをかける。(両端を同じように開けておく。)
- ブレードの端を折り畳み首ぐりの端と合わせる。
- 両端は手まつりで縫い合わせる。
- 表地身頃の裾上げをする。まつり縫いをする。
- 裏地身頃の裾上げをする。
- 表地と裏地をまつり縫いで縫い合わせる。
- 表地の袖口をまつり縫いして裾上げする。
- 裏地の袖口を裾上げして、表地と裏地をまつり縫いで縫い合わせる。
サマーツィードワンピース完成
手間ひまかけて作った洋服には、あなたの愛情がいっぱい詰まっています。この洋服を装い楽しく日々を過ごされることを心から願っております。
最後までご覧頂きありがとうございました。
コメント