袖は、古代から存在している衣服の一部であり、その歴史は古く多様な形状や機能を持っています。
現代においても、袖の形状やデザインは常に進化し続けており、ファッションの重要な要素の一つとして衣服のデザインや機能性に影響を与えています。
一枚袖の原型パターンの基本的な描き方をご紹介致します。
袖とは
袖(そで)とは、衣服の腕部分にあたるところを指します。一般的に、袖は肩から手首までを覆う長い形状をしており腕を通して着用します。
袖は衣服のデザインや季節・目的によって形状や長さが異なります。
例えば、半袖は肩から肘までを被う袖で夏季などに着用されることが多く、長袖は肩から手首までを被う袖で秋冬季などに着用されることが多いです。
袖は、衣服において重要な部分の一つであり、デザインや素材・着心地に大きく影響します。また、袖口にはカフスやリブ、肘当てなどの部分があることもあり、衣服のデザインやアクセントを与えることができます。
袖の種類
袖丈の長さで分ける 袖の種類と名称
- 半袖:肩から肘までを被う袖のことで、夏季などに着用されることが多い。
- 長袖:肩から手首までを被う袖のことで、秋冬季などに着用されることが多い。
- 七分袖:肩から腕の中間あたりまでを被う袖のことで、春秋季などに着用されることが多い。
- 三分袖:肩から肘の中間あたりまでを被う袖のことで、春秋季などに着用されることが多い。
- ノースリーブ:袖のない衣服のことで、夏季などに着用されることが多い。
袖の形状で分ける 袖の種類と名称
- パフスリーブ:肩から袖口までの部分がギャザー(布を寄せる)になっている袖のことで、女性のファッションなどに使われることが多い。
- フレアスリーブ : 肩先から袖口にかけてゆったりと広がった袖。
- ラグランスリーブ:袖の部分と肩の部分が一体になっている袖のことで、スポーツウェアなどに使われることが多い。
- ドルマンスリーブ : 袖ぐりが大きくゆったりし、袖口に向かってだんだん細くなる袖。
- ビショップスリーブ:肩から袖口までがゆったりとした形状で、袖口部分が広がっている袖のことで、レディースファッションなどに使われることが多い。
- ベルスリーブ : 袖口にかけて広がっている、鐘(ベル)のような形をした袖のこと。(トランペット・スリーブなど)
- レッグオブマトンスリーブ : 羊の脚の形に似た、肩の部分が膨らみ袖先に向かって細くなる袖。
- キモノスリーブ : 肩と袖の切れ目や縫い目のない袖
- ヨークスリーブ : 身頃のヨークと袖がつながった袖
その他にも袖には多くの種類があります。
袖の型紙の違いで分ける 袖の種類と名称
袖は一枚袖と二枚袖という、型紙上の分け方があります。
- 一枚袖は、ボレロタイプの軽装なジャケットやブラウスなどに多く使用されています。
- 二枚袖は、テーラージャケットの様な重厚なジャケットなどに多く使用されています。
一枚袖とは
型紙において、一枚袖とは、衣服の袖を1枚の生地で構成する場合の型紙のことを指します。 袖を構成する生地が一枚であるため簡単に作製することができます。
一枚袖の型紙は、夏季の薄手の衣服などに用いられることが多く、防寒性が必要な衣服などには、二枚袖の型紙が使われることが一般的です。
一枚袖の原型パターンからデザインに合わせて袖のパターンを変更していきます。例えば、パフスリーブ・フレアスリーブ・レッグオブマトンスリーブなどもこの一枚袖からの展開により構成された袖です。
一枚袖はブラウスやカッターシャツ、ワンピースなどに多く用いられています。また、軽装なジャケットの袖などにも使用されています。
今回は軽装なジャケットなどに用いる「一枚袖の原型パターン」の描き方をご紹介致します。
袖のサイズを測ろう
一枚袖の原型パターンを描くにはウエストスローパーの次の場所の長さを測ります。
⑴ 前身頃と後身頃のAH(アームホール)を測り、合計しましょう。
- 一枚袖の原型パターンを描くには、身頃のアームホールの長さを正しく測ることが大切です。もちろん、身頃に付けるのですから、アームホールを正しく測る事は当たり前ですが、アームホールの長さに対して袖山の高さが決まります。
- メジャーを使って身頃のアームホール線上を測っていきましょう。
- 前身頃と後見頃のアームホールの合計の長さを求めましょう。
⑵ 袖丈を測ろう
- ご自身の袖丈を測りましょう。
- 人間の腕は少し前に振れています。 肘より手首までは前に少し振れています。
- 袖丈を測る時は肩先から肘までは真っ直ぐ下に向け測り、肘から手首までは少し前に振り測りましょう。
⑶ 袖口周りを測ろう
- ジャケットの仕上がり寸法を考えて袖口周りを決めましょう。
- 手が通りやすく、また、デザインを考慮し適切な袖口の長さを決めましょう。
(4) 前身頃の袖底位置から前身頃のクロスマークまでの長さを測ろう
- 前身頃のアームホール袖底位置(S,S サイドシーム)から測り始め、前身頃のクロスマークの長さを測りましょう。
- 袖の原型パターン、袖山線上にクロスマークの位置を付けるためです。
(5) 後身頃の袖底位置から後身頃のクロスマークまでの長さを測ろう
- 後身頃のアームホール袖底位置(S,Sサイドシーム)から測り始め、後身頃のクロスマークの長さを測りましょう。
- 袖の原型パターン、袖山線上にクロスマークの位置を付けるためです。
一枚袖 原型パターンの描き方
一枚袖 原型パターンの基本的な描き方
さぁ はじめるよ!
袖パターンの基本線を引く
- (1) 横線を引く。(この横線が袖底線になります。)
- (2) (1)の横線に対して直角になるよう縦線を引きます。(この縦線が袖の地の目線になります。)
- (2)の縦線を中心に、向かって右側を前袖側、左側を後袖側とします。
袖山の高さを測る
- (3) (1)の横線と(2)の縦線が直角に交わる位置から、上に向かって、前身頃と後身頃のA,H(アームホール)の合計の1/3の長さを測ります。
- (4) (3)の1/3の長さからA,Hの1/32の長さを引きます。 この高さが袖山の高さになります。
- 赤の★マークが袖山のマークになります。
前袖山線を引く
- (5) 袖山の頂点(赤★マーク)から(1)の横線に向かって、右側に前袖刳(まえそでこ)=ウエストスローパーの前身頃のアームホールの長さ+0.5cmを測ります。
- (1)の横線とクロスした位置が前袖底位置です。
後袖山線を引く
- (6) 袖山の頂点(赤★マーク)から(1)の横線に向かって、左側に後袖刳(うしろそでこ)=ウエストスローパーの後身頃のアームホールの長さ+1cmを測ります。
- (1)の横線とクロスした位置が後袖底位置です。
前袖刳(A,H)や後袖刳(A,H)の長さを測るのに、コンパス・メジャー(巻尺)を使うと便利だよ
袖山線のセンター(中心位置)を測る
- (7) 前袖山線の中間位置、C(センター)を測ります。
- (8) 後袖山線の中間位置、C(センター)を測ります。
前・後袖山線を1/4に区切る
- (9) ・(10) (7)の1/2に分けた所から、さらに、1/2に分け、前袖山線を1/4ずつに分ける。
- (11)・(12) (8)の1/2に分けた所から、さらに、1/2に分け、後袖山線を1/4ずつに分ける。
袖山カーブ線の通過位置を決める
- (13) (9)のC(センター)より外側に1.5cm測る。
- (14) (10)のC(センター)より内側に1.2cm測る。
- (15) (11)のC(センター)より外側に1.5cm測る。
- (16) (12)のC(センター)のさらに1/2の位置に内側に0.3cm測る。
袖山のカーブ線を描く
- (17) (13)・(14)・(15)・(16)の位置から測った位置を通過するように袖山のカーブ線を描きます。
袖丈を測る
- (18) 袖山の頂点から袖丈を測ります。 (2)の縦線と直角になるように仮の袖口ラインを引きます。
- (19) 袖山の頂点から袖丈の1/2の長さを取り、さらにそこから袖丈の1/16の長さを加えます。
- (2)の縦線と直角になるように肘ラインを引きます。
袖の前振りを付ける
- (20) (19)の肘ライン上に分度器を下向きにあてます。
- 前袖側に5°の角度を測ります。 ( ②の縦線を0°とし、5°測ります。)
- 5°の角度線を延長し、(18)の横線よりも長くラインを引きます。
袖口ラインを引く
- (20)の線と(18)の仮の袖口ラインが交差した位置を中心点として
- (21) (20)のライン ( 5°前側に振り延長したライン) に対して直角になるように横線ラインを引きます。
- (21) と (20) のクロスした位置から、袖口幅の1/2の長さを、前袖側・後袖側それぞれに取ります。
前袖口幅と後袖口幅の前後差を付ける
- (22) 袖口幅の前後差を付けるために、
- 前袖口幅を1cm(未満)減らす。
- 後袖口幅を1cm(未満)増やす。
- 減らす長さと増やす長さを同寸にする。 そのため、袖口全体の長さは変わりません。
前袖口と後袖口の長さの前後差はつくけど、袖口の長さは変わらないよ
袖口ラインをさらに分ける
- 前後差を付けた後の袖口幅をさらに2等分します。
- (23) 前袖口幅を1/2に分ける。
- (24) 後袖口幅を1/2に分ける。
前袖口ラインを傾斜させる
- (23) 前袖口ラインを1/2に分けた、センター位置から(18)の仮袖口ラインへ折り曲げてクロスさせる。
- この位置が、前袖口幅の先端になります。
袖下ラインを引く
- (25) 前袖山の袖底位置から前袖口幅の位置まで、前袖下線を引きます。
- (26) 後袖山の袖底位置から後袖口幅の位置まで、後袖下線を引きます。
袖の仕上がりラインを引く
- (1)の前袖底線を1/2に分けセンター位置を決める。
- (1)の後袖底線を1/2に分けセンター位置を決める。
- (19)の前肘ラインを1/2に分けセンター位置を決める。
- (19)の後肘ラインを1/2に分けセンター位置を決める。
- (27) 前袖底線のC(センター)・前肘線のC(センター)・前袖口幅のC(センター) 3ヶ所を通過するラインを引く。
- (28) 後袖底線のC(センター)・後肘線のC(センター)・後袖口幅のC(センター) 3ヶ所を通過するラインを引く。
このラインが袖の仕上がりラインになるよ!
前袖丈と後袖丈を同寸にする
前袖丈と後袖丈の長さに違いがあります。
袖丈を同じにするために後袖に肘ダーツを作ります。
- (25)前袖丈を測りましょう。
- (26)後袖丈を測りましょう。
- 長さの違いをダーツ分量とします。
後袖にダーツを作る
- (29) (28)のC(センター)位置からスタートし(26)の後袖丈線と直角に交差する直線を引く。
- (30) (29)のラインから1.5cm間を空ける。(26)の後袖丈線と直角になるようラインを引く。(28)のラインより間0.7cm空ける。
ダーツを描く
- (31) (30)のラインを中心線としてダーツ分量を1/2ずつ振り分ける。
- 0.7cm間を空けた位置からそれぞれのダーツ線を引きます。
クロスマークを付ける
- 前袖山線上にクロスマークを付ける。袖底位置からスタートし袖山に向かって測っていきます。
- 後袖山線上にクロスマークを付ける。袖底位置からスタートし袖山に向かって測っていきます。
- 前袖山線にはクロスマークを1つ、後袖山線にはクロスマークを2つ付けましょう。
- 前・後身頃のアームホールの長さと袖山線の長さを比べると、袖山線の長さの方が長くなっています。この長さの差が袖山のイセ分量になります。
- 袖のイセ分量は、前アームホールから袖山の頂点を通過し後アームホールまでの間に均等にイセ込みましょう。
基本パターンを補正する
完成まであと少しだよ!
袖底線を補正する
- 前袖と後袖の袖底線の繋がりが悪い場合、繋がりを良くするために補正します。
- 後袖の🅰️部分と前袖の🅱️部分を合わせ、袖山線の繋がりが良くなるように補正線を描きましょう。
袖口ラインを補正する
- 前袖口と後袖口の繋がりが悪い場合、繋がりを良くするために補正します。
- 後袖口の🅰️部分と前袖口の🅱️部分を合わせ、袖口線の繋がりが良くなるように補正線を描きましょう。
一枚袖原型パターンの完成
この一枚袖の原型パターンは、色々な袖の基本パターンとなります。
いろんなデザインの袖にチャレンジしてみてね!
お疲れ様でした。
最後までご覧頂きありがとうございました。
コメント
コメント一覧 (2件)
ありがとうございます!
一枚袖の原型パターン完成しました!
ブログをご覧いただき、ありがとうございました。